一般皮膚科について
一般皮膚科では、皮膚病、肌のトラブル全般にわたる診察と治療を保険診療で行います。よくある例としては、皮膚がかぶれなどで赤くなり、かゆみがある、肌にブツブツができた、いぼやたこ・うおのめがある、虫に刺された、日焼けで肌が痛いなどです。また爪や毛髪も皮膚の一部ですので、これらの疾患も診療範囲となります。
皮膚は単なる皮膚疾患だけでなく、内臓など体の内部における様々な病気あるいは異常が原因で皮膚症状が現れることもあります。そのため全身を映す鏡とも言われています。想定外の病気に罹っていたということも考えられますので、皮膚の異常が見つかりましたら、速やかにまず皮膚科を受診するようにしてください。
また、皮膚の疾患以外にも、乾燥肌や肌荒れなど、皮膚のことについて悩みがあるという方も、遠慮せずにご相談ください。
一般皮膚科の代表的な疾患
・にきび ・水虫(足白癬) ・虫刺され
・いぼ ・たこ、うおのめ ・おでき
・巻き爪(陥入爪) ・やけど ・帯状疱疹 ・円形脱毛症 ・帯状疱疹 など
かゆみ
発症する原因は様々あり、皮膚の炎症や皮膚疾患をはじめ、アレルギー反応、精神的な影響といったことがあります。かゆさに耐えかねて、皮膚を掻いてしまうと、皮膚のバリア機能を担っている層、いわゆる角質層がダメージを受けてしまい、刺激をさらに感じやすくなっていきます。
皮膚を掻くと末端神経に刺激の一部が伝わるようになり、かゆみ物質のヒスタミンを放出する細胞を刺激するようになります。そのため皮膚を掻けば掻くほどかゆみは増していき、症状が悪化していくのです。
かゆみの代表的疾患
湿疹
かゆみが伴う皮膚炎を湿疹と言います。その症状ですが、最初は皮膚に赤みや腫れが見られ、小さな水疱(水ぶくれ)の発疹も現れるようになります。そして水ぶくれが解消されるようになると乾燥したボロボロした皮膚が落ちるようになります。この期間中、かゆみに耐え切れず、爪を立てるなどして掻きむしると病変は広がりを見せ、さらに症状を悪化させるようになります。
この湿疹というのは炎症反応であり、花粉、ハウスダスト、薬剤、細菌といった外的因子が皮膚に侵入する際にそれを排除しようとして引き起こされるものです。症状の程度は、その時の健康状態やアトピー素因などの内的因子によって異なります。
アトピー性皮膚炎
体や四肢などに左右対称で、かゆみと湿疹が発症し、良くなったり悪くなったりという状態を繰り返す慢性的な皮膚疾患がアトピー性皮膚炎です。皮膚が乾燥しやすい素因(ドライスキン)とアトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)を併せもっている方が発症しやすいと言われています。
粉を吹いたようなかさいた状態が初期症状として現れ、首や関節の周囲や耳たぶなど皮膚の比較的柔らかい部分でよく見られます。炎症の程度は患者様によってそれぞれ異なりますが、症状は全身におよびます。また年齢によって皮膚症状が、変化していくのも特徴のひとつです。
蕁麻疹
特発性じんましんでは突然皮膚の一部が赤くなって盛り上がり(膨疹)、強いかゆみも生じます。
発症する原因としては不明な点も多いですが(70%くらいの患者さんは特定の原因がないと言われています)、ストレスやウイルス感染症などにより免疫のバランスを崩すことで肥満細胞という免疫細胞がヒスタミンという痒みを誘発する物質を体内に放出することで起こると言われています。
非特発性のじんましんでは、汗を掻いたりと体温の変化がきっかけで出現するコリン性蕁麻疹や日光にあたると起きる日光蕁麻疹(春先~初夏に多いです)、皮膚を掻くことで起きる機械性蕁麻疹などが考えられます。
かぶれ
皮膚に直接触れたものの刺激や毒性が原因となって起こる炎症や湿疹をかぶれと言います。
正式には接触皮膚炎と言います。接触したり、刺激を受けた部分に赤い腫れが現れるほか、皮膚に水ぶくれやブツブツができることもあります。これらに併せて、痛みやかゆみも生じることが多いです。
かぶれは、いくつかのタイプに分類することができます。主なかぶれには、塩酸や強アルカリ物質などの刺激が原因で発症する刺激性接触皮膚炎、金属や化学物質、植物などが原因で発症するアレルギー性接触皮膚炎、皮膚にある物質が接触している際に太陽光を浴びるなどして起こる光接触皮膚炎があります。
水虫
水虫は足白癬と呼ばれ、皮膚糸状菌(白癬菌)という真菌(カビ)によって生じる感染症です。この白癬菌が足の裏や足の指の間などに寄生することで、患部がジュクジュクしたり、かゆみが生じるようになるのです。
たこ、うおのめ
たこ(胼胝)とうおのめ(鶏眼)は、足の皮膚のある一点に圧迫や摩擦などの刺激が長い期間加わり続けることで発生します。これにより、皮膚の角質は硬くなっていくのですが、それが蓄積することで皮膚の表面は厚くなったものがたこ(胼胝)と言われ、厚くなった角質の中心部に芯のように硬くなって皮膚の内側へと侵入していくものが魚の目に似ていることから、うおのめ(鶏眼)と呼ばれています。
足裏や足の指の間に発生することがほとんどで、歩くときに痛みが生じます。痛みがひどい場合は取り除く必要があり、治療法としては角層を削除して、サリチル酸の軟膏を塗るなどします。また、原因となる刺激を避けるようにします。
円形脱毛症
円形脱毛症は頭髪の一部に円形~楕円形の脱毛を認める病気で、毛根の周囲にリンパ球という免疫細胞が集まってきてなぜか(ストレスなどが原因と言われていますがはっきりした理由は分かっていません)自分の毛根を攻撃して髪の毛が抜けることによっておこる病気です。
男性型脱毛症(AGA)
男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモンと遺伝的な要因が相まっておこる男性の脱毛症です。20代後半~30代に薄毛がみられるようになり、前頭部~頭頂部にかけて認める場合と頭頂部中心に症状を認める場合があります。早期に治療を始めれば発毛を認めるケースも多いため早めの皮膚科受診を心がけてください。
にきび(ざ瘡)
ニキビは、皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりが原因で起きる皮膚疾患です。
顔をはじめ、胸や背中といった皮脂の分泌が多い箇所でよく見られます。
原因となる過剰に分泌した皮脂は毛穴に溜まっていると、面皰(めんぽう)という状態になり、この面皰を栄養源にして、ニキビの元となるにきび菌(アクネ菌)は増殖していくのです。そのような状態になると膿を含んだ赤いブツブツが発生していきます。これがニキビです。
治りにくいばかりか、症状をさらに悪化させると袋状のしこりや痕が残ることもあります。
ニキビ発生の要因
- ホルモンの乱れやストレス
- 乾燥肌
- 毛穴の汚れ
- アクネ菌の繁殖
- 睡眠不足
- 食の乱れ など
まだ完全には解明されていません。なお、にきびは思春期特有の症状と思われがちですが、成人であっても不規則な生活などが続くと症状が出やすくなるので要注意です。
ニキビの治療法
抗生物質や過酸化ベンゾイルなどの外用薬、ビタミン剤、漢方薬などの内服薬などがありますが症状の度合いや原因別などを総合的に判断し、適切な治療法を選択します。
乾癬について
乾癬は炎症性角化症のひとつであり、多くの場合、皮膚が赤くなって盛り上がり(紅斑)、次第にその表面が銀白色の細かいかさぶた(鱗屑)で覆われ、やがてそれがフケのように剥がれ落ちていきます。
紅斑の大きさや数、形などは様々で、発疹が癒合して大きな病変を形成することもあります。紅斑のできやすい部位としては、慢性かつ機械的な刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿などです。
表皮の炎症と表皮細胞のターンオーバーの亢進により、乾癬の症状がみられるとされており、遺伝的な背景や肥満や生活習慣病などの要因により乾癬患者ではType17サイトカインという免疫の物質が上昇していることが大きな特徴として知られています。約半数の方に痒みの症状がみられ、青年~中年期世代の男性患者が多く見受けられます。また、良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返すのも特徴です。
乾癬は5つのタイプに分類
1、尋常性乾癬
尋常性乾癬は、先に述べたように大小や数が様々な紅い色の丘疹が見られ、そこから銀白色の厚い鱗屑を付着した紅斑に変化していくものです。頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などに症状がよく現れます。乾癬患者全体の約9割が同タイプと言われています。
2、乾癬性関節炎
爪の変形や関節痛(関節炎)を伴います。
3、乾癬性紅皮症
全身に発疹が見られます。
4、滴状乾癬
喉が痛んだ後(扁桃炎)などの後に雨滴状の小さな乾癬皮疹ができます。
5、膿疱性乾癬(汎発性)
発熱、 全身倦怠感 、発赤や四肢のむくみとともに全身に膿疱が出現する重症な病型です。
乾癬の治療
乾癬は慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返すので、一律的な治療方針はありません。ただ多くの場合は、外用薬のステロイドやビタミンD軟膏を使用しての外用療法や紫外線療法。中等度以上では免疫調整薬の内服療法や生物学的製剤などの免疫製剤の適応となります。
掌蹠膿疱症
手のひらや足の裏に膿疱がたくさん発生する疾患です。足のすねや膝にも稀ではありますが発疹がみられることがあります。
膿疱は炎症反応に関係する好中球(白血球の一種)が、角層に溜まった状態のもので、小さな水ぶくれ(水疱)が生じた後に膿疱へと変化していきます。慢性的に経過し、周期的に症状をぶり返します。
出始めの頃に、よくかゆみが伴うのが特徴です。このほか、鎖骨や胸の中央付近、あるいはその他の関節が痛むこともあります。慢性扁桃炎や喫煙、歯科金属アレルギーの関与が以前より指摘されています。
紫外線治療器
皮膚疾患の赤い病変部にはリンパ球という免疫の炎症細胞が多く集まることで赤みやかゆみ(炎症)を起こします。紫外線治療器VTRACでは308nm前後の波長の光線が作用し、皮膚病変で炎症を起こしている炎症性リンパ球の活性を抑制することで皮膚病を改善させます。アトピー性皮膚炎や乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性白斑の皮疹が対象となります。